【EVENT】第2回印刷物研修 in 福生 〜紙器製造編〜

SKGでは印刷への知識を深めるべく、
不定期に印刷研修会を公開で開催しています。
第2回は、事務所を飛び出し、福生(ふっさ/東京都福生市)へ!

前半は紙器設計に定評ある株式会社協進印刷様(以下協進印刷、敬称略)の福生工場を見学。
この東京営業所とSKGの場所が近いご縁もあり、見学させていただけることになりました。

ところで福生は横田基地が1/3の市を占め、アメリカを彷彿させる場所です。
後半はそんな福生拠点にまちづくりを担うNPO法人 FLAG 佐藤竜馬さん(以下FLAG、敬称略)プロデュースの福生新名所“DELTA EAST”で、お話しを聞きながら懇親会です。

(前半) 協進印刷さんでの福生工場見学

協進印刷は紙器設計から製造まで一貫して行い、
食品、医薬品、美容等の多分野・多品種に渡るパッケージを製作されています。
また、JPI日本パッケージングコンテストにて15年連続受賞と素晴らしい実績をお持ちです。
福生工場では紙器設計の後工程となる印刷や打ち抜き加工といった製造工程を見学させていただきました。

まずは、協進印刷のご紹介と印刷工程全体のお話しを聞き、見学者通路より全体の流れを見学。

オリエンテーションの様子。
見学者通路より印刷機を見学。工場の清潔感に驚く一同。

調肉室にて

見ておいた方が良いという、助川の話から調肉室に着目。ご案内予定にはなかったそうで、思わぬところで時間を使ってしまうこと度々。

調肉とは指定の色になるよう、ベースとなるインキに他の色のインキを調合し、色を作ること。
また、紙によって色の出方が違うので、実際に印刷する紙に合わせて調整をします。
紙とインキの相性を示したレシピをたくさん持っている印刷会社は信頼できるとの声も。
また、この工程は紙に対する色の出方が確認できるので、特色の掛け合わせや網点を用いる等、複雑な絵柄でない限り色校正を出す代わりにもなります。尚、この工程を調肉を含めて「展色」と呼ぶこともあります。

印刷工場内でインキを練る会社は多くはなく、その場合はインキは外から買います。ちなみに助川の古巣・GRAPHも社内で練っております。

型抜き前の展開図をみながら

パッケージならではの印刷の豆知識が飛び交いました。

・オフセットの白インキは下地を拾いがちなので、バーコードの背景白はほとんどが2回刷り
・ドラッグストアやホームセンターは売られている商品の台紙等が実は特色の宝庫

着替えていざ現場へ!

協進印刷さんでは品質保証の国際的な認証であるISO9001を取得しており、医薬品の製造現場同等のクリーンな生産設備環境で品質管理をされています。
工場では、社員はもちろん、取引先・外注先の方にも防塵服・マスク・キャップの着用を義務付けているそうです。

印刷→加工(箔押し)→検品→型抜き→組み立て

●箔押し機 : 印鑑などのイメージから型を上から押すことを想像しやすいが、型は動かず下の紙が持ち上がり、箔版に押し付けて箔押しする。余談だが、近年箔をインキと同じ要領で印刷できる機械ができたそうです。そうすると、箔の抜きカスが出ないことがメリットの一つとなります。
●画像処理検査装置 : 機械に入れて通すと、細かいピンホールや、傷は一瞬で認識してくれる。また、ロゴ周りは検品を強化するなどの設定も可能。
●型抜き機 : 打ち抜き型は受け型(左)と押し型(右)の2つを使う。
●折り加工機 : 糊を吹き付けながら折加工していく。

特に印象的だったのは、機械でカバーできない部分は人の手で細かな微調整をしているということ。
・型抜き機でカス取りが難しいものは人の手ではがしている。
・型押しは機械によって刃の切れ方が違うので専用のテープで調整するという人間味溢れる職人技も。

見学後

パッケージには特色や加工の技術が詰まっていることを知り、よく目にするパッケージのイメージが変わりました。
インターネットから簡単に注文できる印刷会社が多くなり、現場の見えない形で発注することが一般的になってきています。
そんな中、想像しづらかった現場の空気を体感でき、とても貴重な経験になりました。特に検品に関しては、機械だけでなく人の手を尽くした品質管理が行われていることを目にし、その重要性をとても良く理解できました。

(後半)福生まちづくりレクチャー

さて、後半です。工場から会場をDELTA EASTヘ移します。DELTA EASTをプロデュースしたFLAGは、地域や街の価値をあげる仕組みをデザインする事業を行われています。その竜馬さんは助川がGRAPH時代からの旧友です。ずっと福生を拠点に活動されているのを知っていたようですが、なかなか訪れる機会もなかったので、今回の工場見学に合わせてようやく実現できました。

DELTA EAST見学!

東京都事業で、MOBILE HOTEL“The Tiny INN”とフードトラックポッド“DELTA EAST”。
300坪の敷地に、アメリカ風タイニーハウスホテルとフードトラックがあり、地域のローカルスペシャルフードを中心にビール、コーヒー、チキンオーバーライス、ピザ、ベトナムサンドウィッチ「バインミー」が楽しめます。

民間と公共の間にある施設

敷地は公共で、フードトラックのオーナーはそれぞれFLAGに賛同してくれる方々を集め、民間での営業をしています。
竜馬さん自身もDOSUKOI PIZZA(ピザ)やDelta Brewing & Co(クラフトビール)を運営しています。

竜馬さんは助川と出会った当時はとある広告代理店勤務のデザイナーでした。しかし、当時からPCと向き合ってつくるデザインに止まらず色々面白い企画を考えられていました。様々な機会でお客様に企画提案していたそうで、その一つに“DELTA EAST”のような公共と民間がミックスされた事業が。面白がってはくれるものの、腰は重かったそうで、だったら自分たちでやろう!と腰をあげて出来たのがこの場所です。
連日横田基地勤務の米軍が訪れ、独特の空気感を出せているだけでなく、グローバルの軍で配布されている新聞紙(米軍基地メディア)にも素敵に取り上げられたそうです。
多くの方へ向けた話題になるマスメディア広告作りも良いが、“DELTA EAST”のように小さなコミュニティを活性化させるデザインに親近感を覚えました。

多摩にあるブルワリーVETREREさん のクラフトビールで乾杯!
DOSUKOI PIZZAのチーズピザ。フードトラックの中で生地をつくり焼いているので出来たてを食べれます。
フードトラックやタイニーハウス、敷地の中にあるベンチやテーブルはDIYで製作。
The Tiny INNはシャワーとトイレが設置されていて、最大2名まで宿泊できるそう。

今後様々なイベントを開催する予定だそう。
さらに盛り上がる福生にまたお邪魔したくなりました。

テキスト 門野由華(SKG)
2020年2月

今回ご協力いただいた方々

株式会社 協進印刷 世田谷本社:東京都世田谷区若林4-39-1 福生工場:東京都羽村市神明台4-7-29
NPO法人 FLAG 東京都福生市熊川1068−26 FLAGについてのインタビュー記事はこちら
DELTA EAST 営業時間:11:00~20:00 L.O 19:30 ※定休日、営業時間などは予定など予告なしに変動しますので、予めご了承ください。 住所:東京都福生市福生1990-1
The Tiny INN 予約は2020年より開始しています。