(前半) 協進印刷さんでの福生工場見学
協進印刷は紙器設計から製造まで一貫して行い、
食品、医薬品、美容等の多分野・多品種に渡るパッケージを製作されています。
また、JPI日本パッケージングコンテストにて15年連続受賞と素晴らしい実績をお持ちです。
福生工場では紙器設計の後工程となる印刷や打ち抜き加工といった製造工程を見学させていただきました。
まずは、協進印刷のご紹介と印刷工程全体のお話しを聞き、見学者通路より全体の流れを見学。
調肉室にて
見ておいた方が良いという、助川の話から調肉室に着目。ご案内予定にはなかったそうで、思わぬところで時間を使ってしまうこと度々。
調肉とは指定の色になるよう、ベースとなるインキに他の色のインキを調合し、色を作ること。
また、紙によって色の出方が違うので、実際に印刷する紙に合わせて調整をします。
紙とインキの相性を示したレシピをたくさん持っている印刷会社は信頼できるとの声も。
また、この工程は紙に対する色の出方が確認できるので、特色の掛け合わせや網点を用いる等、複雑な絵柄でない限り色校正を出す代わりにもなります。尚、この工程を調肉を含めて「展色」と呼ぶこともあります。
型抜き前の展開図をみながら
パッケージならではの印刷の豆知識が飛び交いました。
・オフセットの白インキは下地を拾いがちなので、バーコードの背景白はほとんどが2回刷り
・ドラッグストアやホームセンターは売られている商品の台紙等が実は特色の宝庫
着替えていざ現場へ!
協進印刷さんでは品質保証の国際的な認証であるISO9001を取得しており、医薬品の製造現場同等のクリーンな生産設備環境で品質管理をされています。
工場では、社員はもちろん、取引先・外注先の方にも防塵服・マスク・キャップの着用を義務付けているそうです。
印刷→加工(箔押し)→検品→型抜き→組み立て
特に印象的だったのは、機械でカバーできない部分は人の手で細かな微調整をしているということ。
・型抜き機でカス取りが難しいものは人の手ではがしている。
・型押しは機械によって刃の切れ方が違うので専用のテープで調整するという人間味溢れる職人技も。
見学後
パッケージには特色や加工の技術が詰まっていることを知り、よく目にするパッケージのイメージが変わりました。
インターネットから簡単に注文できる印刷会社が多くなり、現場の見えない形で発注することが一般的になってきています。
そんな中、想像しづらかった現場の空気を体感でき、とても貴重な経験になりました。特に検品に関しては、機械だけでなく人の手を尽くした品質管理が行われていることを目にし、その重要性をとても良く理解できました。
(後半)福生まちづくりレクチャー
さて、後半です。工場から会場をDELTA EASTヘ移します。DELTA EASTをプロデュースしたFLAGは、地域や街の価値をあげる仕組みをデザインする事業を行われています。その竜馬さんは助川がGRAPH時代からの旧友です。ずっと福生を拠点に活動されているのを知っていたようですが、なかなか訪れる機会もなかったので、今回の工場見学に合わせてようやく実現できました。
DELTA EAST見学!
東京都事業で、MOBILE HOTEL“The Tiny INN”とフードトラックポッド“DELTA EAST”。
300坪の敷地に、アメリカ風タイニーハウスホテルとフードトラックがあり、地域のローカルスペシャルフードを中心にビール、コーヒー、チキンオーバーライス、ピザ、ベトナムサンドウィッチ「バインミー」が楽しめます。
民間と公共の間にある施設
敷地は公共で、フードトラックのオーナーはそれぞれFLAGに賛同してくれる方々を集め、民間での営業をしています。
竜馬さん自身もDOSUKOI PIZZA(ピザ)やDelta Brewing & Co(クラフトビール)を運営しています。
竜馬さんは助川と出会った当時はとある広告代理店勤務のデザイナーでした。しかし、当時からPCと向き合ってつくるデザインに止まらず色々面白い企画を考えられていました。様々な機会でお客様に企画提案していたそうで、その一つに“DELTA EAST”のような公共と民間がミックスされた事業が。面白がってはくれるものの、腰は重かったそうで、だったら自分たちでやろう!と腰をあげて出来たのがこの場所です。
連日横田基地勤務の米軍が訪れ、独特の空気感を出せているだけでなく、グローバルの軍で配布されている新聞紙(米軍基地メディア)にも素敵に取り上げられたそうです。
多くの方へ向けた話題になるマスメディア広告作りも良いが、“DELTA EAST”のように小さなコミュニティを活性化させるデザインに親近感を覚えました。
今後様々なイベントを開催する予定だそう。
さらに盛り上がる福生にまたお邪魔したくなりました。
テキスト 門野由華(SKG)
2020年2月
今回ご協力いただいた方々