new電動傘「Electric Umbrella CAN」

大阪で70年続く老舗の傘屋・株式会社三国は、長傘、軽量コンパクトな折り畳み傘、晴雨兼用の傘など、年齢や性別を問わず使える多彩なラインナップを展開してきました。
サイズやデザインのバリエーションも豊富で、日々の暮らしに寄り添う“ちょうどいい傘”を真面目に、丁寧につくり続けてきたメーカーです。

そんな三国の中嶋社長が出会ったのが、電動で開閉するという傘。
その電動ならではのスムーズな開閉に、「これまで見てきた傘とはまったく違う」と衝撃を受けたといいます。

その体験をきっかけに、「この傘を軸に、新しいブランドを立ち上げたい」というご相談をSKGにいただきました。

電動で開閉するという核となる機能はすでに決まっていました。
そこに、どんな世界観をつくり、どんな人たちに、どんな価値として届けるのか——。

このプロジェクトで最初に悩んだのは、電動傘という商品の特徴をどう語るかでした。“商品として”の面白さと、“ブランドとして”届けたい価値。その二つのレイヤーをどう整理し、どうフォーカスしていくかを探っていきました。

電動という機能をどこまで前に出すのか。便利さや面白さだけでは、すぐに“だから何?”と思われてしまうかもしれない。

“ガジェット”としての面白さと、“傘”としての日常性。1万円を超える価格帯で、しかも軽いとは言えない折りたたみ傘。その価値をどう伝えるのか。慎重に方向性を探っていく必要がありました。

たとえば、最終的に選んだ『CAN(キャン)』という名前には、「できる」というニュアンスのほかに、「傘にはもっと可能性があるかも」という、社長の言葉から生まれた初期衝動を込めました。
電動という機能が加わったことで、モバイルバッテリーやソーラーパネル、ファン付きの傘まで──そんな少し妄想じみた未来像が頭に浮かんだそうです。
『CAN』という名前には、そうした前向きな期待や、“まだ形になっていない何か”を包み込むような余白も含まれています。

CANブランドを立ち上げるということは、ゼロから何かを生み出すというよりも、すでに感じられていた価値や感覚を、丁寧にすくい上げてかたちにしていくことでした。
このプロジェクトでは、まさにそんなプロセスを積み重ねながら、「傘に電動という動きが加わったとき、どんな人のそばに、どんな気持ちで存在するのか」を探っていきました。

ブランドのステートメントとして掲げた「Be Gentle.」には、傘が動くたびに生まれる、まわりへのやさしさや、自分へのささやかないたわりを込めました。
親指ひとつで静かに開閉するその動きは、使う人の所作を整えるだけでなく、少し気持ちにも余白をつくってくれるような気がします。

キービジュアルでは、「CAN」が思い描く“ジェントル”を表現するために、外国のモデルを起用しました。
品のある服装や落ち着いた立ち振る舞いはもちろんのこと、電動でスッと傘が動く様子をちょっと楽しそうに見つめる、その表情や仕草にも、私たちは“ジェントル”を重ねました。

言ってしまえば、思わず無駄に何度も開け閉めしたくなるような、ニヤけてしまうような楽しさ。
そんな少年のような心もまた、「CAN」が大切にしたい感覚のひとつです。

どこかでこの傘を見かけた際は、ぜひその動きのやさしさと、ちょっとした面白さを体験していただけたら嬉しいです。

electric umbrella 【CAN】(46秒)

電動傘「Electric Umbrella CAN」

Client : 株式会社三国

https://electric-umbrella.jp